野菜を作り始めた訳
何年か前、赤字になった年があった
資金繰りをしなければいけなくなり、先のことを考えると農業をやめようと話た事もあった
*この子が来るもっと前
それまで私は、農業を仕事としてやっている自覚がなかった
ただ言われた事を淡々と、姑のマネをしてこなすだけ。
子育てと家事に追われていたから、仕事じゃなくて手伝っている感覚でいた。
経営は旦那様がやっているから口を出す事は無いと思っていたし、何とか毎年生活出来ているのだから何も問題ない、機械を買っても、旦那様がわかって買っているのだから大丈夫と思っていた
子供たちが大きくなるにつれて、そろそろ私も朝早くから農作業に行けるようにならなきゃー
(代を継いだのに旦那様は私とパートナーではなく、姑とパートナーで仕事をしているのが悔しかったから、私も作業を覚えて姑のように動けないとパートナーになれないと思っていた)
そう思っていた矢先、赤字がでた
その時私は悩んでいる旦那様を見て
「何でこんな事になるのだ?天気が悪かったから仕方ない・・・じゃこれから天気が悪かったら毎回赤字になるのか?そんなの、本当に経営してるというのか?」
と、経営を学んでいない私は旦那様を問い詰めた。農業ってギャンブルみたいだよねーと冗談混じりで話していたこともあったけど、本当に農業はギャンブルなのか?
みんな同じなのか?
みんなこんな農業経営をして、満足しているのか?
みんな天気が悪かったからって赤字でも仕方がないと思って農業やっているのか?
とーっても不安になった。
でも・・・
これから
何をすれば、赤字にならないようにできるのか?
もとより、経営なんだから黒字になってなんぼの話なのではないか。
更にはこれから儲からないと何も出来ないのではないか?
*舅姑は同じような経験者だから、いろいろと作ってきた
でもやっぱり上手くいかず止めたものも数しれず・・・
じゃ何を作れば儲かるのか?
と、いろいろ考えて止まらくなりましたが、何をすればいいのかもわかりませんでした。
そして私は、旦那様が苦しんでいるのにのほほんと見ているだけでいいのか・・・と悩んでいて
私に出来ることで少しでも経営のプラスになる事は何か・・・必死に探した
今思えば安易な考えだったかもしれないけど、私が出来るのは野菜を作って売る・・・
そして、その作った野菜の中からこの中山間の急傾斜地や条件に合った野菜を見つけて作付のローテーションに入れていけば、収入を増やすことが出来ないかと思うようになった。
あれから4年
農業経営に関わる、経営の勉強、セミナー、講演会に行ったのは数知れず。
自立して活躍している人・・・と言われる視察研修や講演に行って知らない世界との出逢い。
そこから更に同じ言葉で同じ様な想いで農業について語り合える仲間と出逢い。
私はどの道に進んで、どんな農業がしたくて、どういう人になりたくて、どういう人生を送りたくて、どのような人生の終わり方をしたいのか
悩んで悩んで、紆余曲折した4年間。
聞いて見て、行動して。
やっとうっすら見えてきた私の未来図。
野菜を作り始めたのは、家族のためとか、収入増のためとか、地域のためとかカッコイイこと言ってたけど、心の奥では違った。
私達は生産者で、消費者がいるから野菜を作っている。
消費者が求めるものを作ったり、売ったりしているからお金が入る
そんな単純では無いけど、単純な理由から違う方向に向かって作っているのが何かもどかしかった。
作っているのは私なのに誰も知らなくて、美味しいのか不味いのかもわからなくて、ホントに欲しいものは何かも聞けなくて、作っている意味とかやりがいとか二の次で、とにかく生活のためとか、農業維持のためとか義務的なもので働いていた。
私の人生は私のモノ。
私は本当はどんな仕事がしたいのか、どんな生活がおくりたいのかをとことん考えた。
素直に、実直に、誠実に、楽しく、熱くて、好きなものに囲まれて、自然を感じて、人情を感じて、人間らしく喜怒哀楽があって、世界を知って、いろいろな物に興味を持って、行動して、生きてるーーって感じたくて。
それらほとんどを満たしてやろうと思えば出来るのが農業なのじゃないか?
自分しだいでどんな道にも進める。
ホントにやりたい事を見つけるために、野菜を売って販売したかった。
4年後、どんな道を歩いているのか
全く想像できてなかったけど。
とにかくやってみた。
(野菜を作り始めた訳 2 へ続く)